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2017/09/05

腰痛のほんとうの原因はどこにあるのか → 9/24の臨床実践塾

合谷
   合谷と腰腿点:合谷は大腸のツボです


セミナー参加者の動員目的で公開されているYouTubeやセールスレターなどを読んでいると、「腰痛の原因が手にある」と語られているのが増えてきました。
つまり、腰痛の原因は腰部周辺にあるのではなく、手にあるというわけです。

これは、よく用いられるマーケティング手法の一つで、「腰痛の原因は腰にあり」と言うと、誰も振り向かないのですが、「腰痛の原因は手にある」と言えば、多くの人が振り向いてくれるので、「キャッチ」として使えるわけです。
※マーケティングでは大きなポイントになるところです。

そして、手への施術で腰痛を改善させるわけですが、これは経絡を知っている人(知識だけではなく経絡を使い熟せる人)なら、「ははーん」と思うはずです。
どういう意味かと言うと、腰痛が出る時には、臓腑にも異変が出ており、その臓腑の経絡を辿れば、どの手の指に異変が出るかがわかるということです。

たとえば、こんなことがありました。
大きな中華料理店でコックをしているという方でしたが、「腰が痛い」とやってきました。
その方の話によると、大きな店では、それぞれに担当があり、洗い物をする「洗い場」、もっぱら野菜を切り刻む「切り場」、揚げ物などを揚げる「揚げ場」と朝から晩まで同じ仕事をすると言うのです。

その方は、切り場に配置されていて、毎日キャベツを刻んでいると言っていました。
そして、「その姿勢だから腰が痛くなった」というわけです。
ここで注意して欲しいところは、毎日包丁で野菜を刻んでいるということは、親指や示指に負担が掛かりますので、そこにも異変が出やすくなるというところです。
※ 親指は肺経、示指は大腸経で、肺経と大腸経は表裏の関係です。

私のところでは、問診、脈診、脊椎診という基本的な診断をしますが、この方は脈でも脊椎でも「大腸」が出ていました。
そこで、合谷を使って骨格矯正鍼をしたら、即座に腰痛が取れたのです。
そして大腸の養生法を教えたので、(紹介者から聞いた話では)再発もありませんでした。

「骨格矯正鍼の講習」を受けた方はわかると思いますが、骨格矯正鍼は基本的に「腰腿点」というツボを使います。
そして、大腸に異変があるときは「合谷」を使います。
つまり、骨格矯正と同時に、腰痛の原因となっている大腸も治療するわけです。

問題はここです。

この時、「腰痛の原因は手にある」と言っても疑う人はいないはずです。
しかし、経絡を知っている人は、「な~んだ、大腸経じゃないか」となるわけです。
そして、
大腸経を使って治療することが再発させないポイントになるのです。
大腸が腰痛の根元になっているからです。

つまり、診断で「大腸経」が出てきたら、「腰痛の原因は手にありますよ」と言い、手関節や手根骨、あるいは手指の筋膜を動かすことで腰痛を治すこともできるわけです。
即ち、鍼灸診察をすると「大腸経」と出ても、一般的な筋・骨格系の診断法だと、舟状骨だとか中手骨や中手指節関節だとか、示指の筋膜という診断になるので、「腰痛の原因は手にある」と言ってもいいわけです。

それで何が言いたいかというと、それぞれの治療法には、それぞれの診断法があり、それぞれ成果を上げています。
しかし、筋・骨格系での診断では、養生法が複雑になってしまいます。
そして治療サイクルの問題から考えてみると、鍼灸では基本的に、病因を臓腑に求め、その臓腑を中心に治療をしていくので、それが根本療法になると考えているのですが、その治療結果は再発が少ないと考えているわけです。

そして、もっとも大切なことは、「大腸」と診断して、「大腸が原因です」と患者さんに伝えたら、大腸の簡単な養生法も教えて早急に完治させことができることです。
しかし、筋・骨格系や筋膜で診断すると、それができないので、「重力が原因だ」とか、「胎児のときや出産時に問題がある」という説明をしかねません。

そのような「どうにも解決法がない病因」を患者さんに言うのは、酷なことです。
解決できない病因なら、言わなければいいのです。
言うなら、その証拠を見せて、解決法を見せてから言うべきだと思うのです。

9月24日の臨床実践塾では、今流行っていると思われる治療法を紹介しながら、鍼を使わずともできる経絡治療の方法を解説していきます。



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