手首が痛い。「八会穴の脈会」(太淵)について
ここが痛い
「八会穴について」書いてきましたが、「脈会」で最後になります。
「脈会」は、脈の気が集まるところということですが、脈診をする場合の脈位は、
手首側から、
・寸口
・関上
・尺中
という呼び方をします。
その寸口に当たるところが「脈会」になるわけです。
ただ、日本で汎用されている脈位に関して、私個人は疑問をもっています。
理由は、日本で汎用される脈位以外に、中国では多くの脈位があるからです。
これに関しては多分、多くの方が賛同するのではないかと思います。
しかし、「日本人は遠慮深いので黙っている」と考えています。
理由は、仮に病院で病名が判定した患者さんでも、脈診では違う答えが出てくるからです。
そんなことを言うと、「病院は西洋医学で、脈診は東洋医学だから、根本的に違う!」と言う方もいるかと思います。
しかし、そういうことを言うと、患者さんは不安になり、東西のどちらかに不信感を持つと思われますので、患者さんが安心して治療を受けられるように考えなくてはならないと思います。
だから我々は、「虚」とか「実」という言葉を使って説明します。
たとえば、七星論の脈位で検討しますと、「寸口」の脈は、胸部の盛衰が現れやすいので、寸口の脈が弱ければ、「心身の元気の無さ」が伺えます。
また、「尺中」の脈は「腎」と「心」の盛衰が現れやすいので、尺中の脈が弱ければ「妊娠しにくい」とか「性力が弱い」と考えます。
ただ、脈は食物と非常に関係が深く、陰性な食品を摂り過ぎている方の脈は弱いので、そこは注意して診る必要があります。
さて臨床です。
先日、「右手首が痛い」(神門穴)という方が来られました。
経絡で言うと「心経」になります。
で、脈で診ても「心経」は弱かったです。
- 脈会に力がない
- 心経の脈が弱い
- 手首の心経が痛い
このような場合、八会穴の「脈会」を考えても意味がありません。
心経が整わないと脈会(太淵穴)の脈も弱いと考えるからです。
この方の治療は、「火=心・小腸」を考えて、直接小腸を指で押さえて痛みを治めました。
脈の気が集まるところが太淵で、太淵は脈診にも使うツボになるので、こんがらがってしまいます。
昔読んだ本で、「脈会に気を集めるには太淵に刺鍼する」みたいなことが書かれたのがありましたが、それは正しいのかと考え続けています。
理由は、八会穴に直接刺激を与えて「気が集まる」となると、あまりに簡単で、それ以上治療の研究をする必要はないのではないか、と考えるからです。
ですから、八会穴は治療点というより、「診断の参考」に使っています。
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