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2018/05/03

円形脱毛と腎、そして不妊症




円形脱毛




腎虚での脊椎の歪み。こんなにはっきりとした歪みは初めてです



この方は、円形脱毛が主訴ではなかったのですが、治療の途中で、スタッフに、
「先生、私、ハゲもあるんです」と言っていました。
ちょうど私は足か肝臓部への鍼をしていたと思いますが、スタッフが、
「あ、これですね!」と手柄を挙げたような声で言うものですから、見ることにした。
見ると、確かに円形脱毛がありました。

でも大丈夫です。
「これぐらいの大きさなら、すぐに治るから」と、患部に2本鍼をしました。
患部への鍼はしなくてもいいのですが、鍼をするほうが早いのです。
どれぐらい早いと言いますと、2週間もすれば産毛が生えてきます。

その産毛がだんだん太くなって、普通の太さになるわけです。
こういう軽い脱毛の場合は、早く治ってしまうので、治療期間を気にしたことがないので、正確な期間は覚えていませんが、3か月も見ておけばいいと思います。

診断ですが、私は基本的に「脈診・脊椎診・六臓診」を使います。
この方の場合は、脈診でも腎虚がありましたし、脊椎診では、明らかな腎虚が出ていました。
2番目のイラストを見て頂くといいのですが、脊椎が左の腎臓を取り巻くように歪んでいたのです。

現代医学での円形脱毛症は、「原因不明」と言われますが、このように体に出た反応を診ると、どこを治療すればかがわかってきます。
円形脱毛症は放っておいても自然に治ることが多い疾患と言われますが、治るまでに数年かかる場合もあり、その間に脱毛部が増えたり、広くなったりすることもあります。
実際、この方も、当院のスタッフが探したところ、別にも一か所見つかりました。

円形脱毛症の原因は、よく「ストレス」なんて言われますが、私が診てきた円形脱毛症の方は、みなさん「明るい方」が多かったし、ストレスになる原因を探しても、見当たらないのです。
ですから私は「ストレスが原因」なんて考えたことはありません。
もちろん、脱毛になってからは、「人前に出たくない」程度のストレスはあると思いますが……。

さてでは、脱毛の原因と思われる「腎虚」について考えてみましょうか。

東洋医学で言う「腎の症状」には、「腎精不足」があり、「腎虚」があります。

腎精不足というのは、生殖に関係する精も指すので、不足すると無月経、子宮発育不全、排卵異常、不妊、無精子症、精子過少症、インポテンツ、早漏、精力減退などの生殖機能異常の症状が出てきます。

そして、腎精は人体の成長や発育活動を維持することにも関係するので、腎精が不足すると、知力の減退、骨格の発育異常、耳鳴り、骨粗鬆症、歯が抜ける、白髪、脱毛などが起こるとされています。
『朱子学』には、「腎が弱ると記憶力が落ちる」という一説があるのですが、それがこの「腎精不足」のことになるわけです。

「腎虚」とは、単に腎臓が弱っているといことではなく、腎虚にも「腎陽虚」と「腎陰虚」に分けて考えます。
つまり、腎にも「陽のエネルギー」と「陰のエネルギー」があり、そのどちらが不足しても「虚」という症状が出てくると考えたらいいと思います。

次に「腎陽虚」と「腎陰虚」になりますが、これは「よくある症状の例」を揚げておきます。

腎陽虚:
 息切れや呼吸困難
 元気がない
 足腰がだるい
 腰痛
 膝痛
 下半身に力がない
 手足が冷える
 寒がる
 多尿・頻尿・夜間尿
 おしっこの出やキレが悪い
 失禁
 早漏・インポテンツ

腎陰虚:
 めまい
 目の乾燥
 目が疲れやすい
 目がかすむ
 のぼせ
 頭痛
 不眠
 夢が多い
 動悸など
 皮膚や唇の乾燥
 口渇
 熱感
 足の火照り

ただ、注意しなければならないのは、中医学では「体を温める食物」として、ショウガ、ニンニク、トウガラシなどを使いますが、それは臨床的に間違いだと思います。

たとえば、不妊症でショウガ湯やショウガ料理を多く摂っている人がいますが、それではますます妊娠しにくくなっています。

何故なら、ショウガやニンニクやトウガラシなどは、口に入れた瞬間からしばらくは体が温まった感じがするのですが、1時間もすると冷えてくるのです。
それは、それらの食材には「拡張作用」があるからで、瞬間的に血管を広げるので、血液循環が良くなって温かく感じるわけです。

※ トウガラシを口にすると、汗が出てきますが、すぐに冷えてきます
※ また、寒冷地では生理的に冷えるものは好まれません
※ インドでは、暑さを避けるためにカレーを食べて凌いでいるのです

当院に来る不妊症の患者さんには、最初に「体を冷やす食べ物」の話をします。
理由は、それらを摂らないだけで妊娠しやすくなるから。
お腹(子宮)が冷えていると妊娠しにくいのです。
ですから、お腹(子宮)を温かく保つように食事指導をします。
そして必要と思われるときは、「デト温パック」という下腹部を温める方法もお話します。

円形脱毛から逸れてしまったように思うかも知れませんが、円形脱毛も不妊症も「腎」と関係があり、それを理解してもらうために説明させていただきました。
円形脱毛の鍼灸治療は、上の写真のように、患部に平行刺をして、患部の皮膚の下の代謝をあげることを考えます。
そして、「補腎」のための選穴をすればいいです。

円形脱毛がひどい場合や、脱毛が長期に続いている場合は、患部の皮下に鍼をすると、「粘りのある砂」に鍼を刺しているような感触があります。
多分、コラーゲンが硬くなっていると思いますが、それが柔らかくなってくると産毛が生えてきます。



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