査穴はすごい!

上肢の陰査穴
七星論を組み立てながら、伝統的な経穴(ツボ)に疑問を持つようになったことがあります。
その時、「仮に七星配置が経絡にもあるとすれば…」と考えたのが査穴でした。
最初は「検査穴」ということで使っていたのですが、治療に使ってみたら、従来の経穴より効果があるのです。
ですから、「検査穴」という意味で「査穴」と命名したのです。
査穴は、原穴のようでもあり郄穴のようでもある。
原穴とは、ウィキペディアには、「五臓六腑の病気に応じて反応の出るところ」となっていますが、原穴は「経絡の原気が出入りするところ」と解釈したほうがいいように思います。
郄穴とは、経絡の変動が現れるところで、主に急性の疾患に使います。
つまり、査穴は、その二つの作用をしてくれるところで、臨床家に一役かっています。
たとえば、酷い生理痛の場合、脾査穴に刺鍼して、軽く捻鍼するだけでほとんどの症状は、消えるか軽くなります。
ですから、この査穴を覚えておくだけで、いろいろな急性の治療にも使えるのです。
当院に、新しいスタッフが入社したら、最初に覚えてもらうのが、「太もも踏み」です。
大腿内側を踏むだけですが、それには患者さんへの解説も必要ですので、解説方法も覚えてもらいます。
解説は、患者さんが納得して治療を受けてもらうためです。
理屈が分かり、実際に体験すると、治療効果が高くなると考えているからです。
その次に覚えてもらうのが、刺鍼部位の消毒です。
刺鍼部位の消毒を覚えてもらいながら、査穴の位置を「頭ではなく指や腕に」覚えてもらうためです。
そうすることで、治療助手をする場合、スムーズに消毒ができるようになるので、患者さんも納得できてくるわけです。
※ 患者さんは敏感ですので初心者の手付きはすぐわかります
それから「脈診」や「手技療法」を教えながら、カルテを書いてもらうようにします。
当院のカルテには、鍼灸学校では教えない特別な単語がたくさんありますので、この時点で戸惑うと思います。
しかし、使う単語はそんなに多くないので、すぐに覚えてしまうようです。
多分ですが、最初に覚えるのが「◯査穴」という単語ではないかと考えますが、聞いたことはありません。
何故なら、誰のカルテにも、必ず「◯査穴」という言葉が入っているからです。
この査穴を使って、いろいろな実験もしてきました。
中でも面白かったのは、相生相剋の実験で、五行論での相生相剋と、七星論での相生相剋を実験してみると、「なんじゃこれは!」という結果が出てきたのです。
その相生相剋関係は、鍼灸治療になくてはならない理論なので、臨床実践塾でも鍼灸学校の授業でもやってみせました。
いや、やって見せましたと言うより、皆さんにやってもらいました。
私がやると、「誤魔化しているのではないか」と思われると考えたからです。
※ 臨床実践塾でも、参加者の皆さんにやってもらうようにしています。
査穴にもいろいろなエピソードがあります。
ある経絡治療家は、こう言いました。
「経絡学会での経絡治療で上手くいかないときは、査穴を使っています。最初から査穴を使うとやることがなくなりますので…」(笑)
また、ある鍼灸学校の先生は、
「査穴は学生に教えないようにしています。これを覚えてしまうと教科書に書かれたツボが教えられなくなりますからねー」(笑)
で、実際にはどうかというと、その通りだと思います。
査穴は、拙著 『人体惑星試論奥義書』 で、大きなポイントとなるところです。
ぜひ皆さんも査穴を使ってみてください。