臨床実践塾 第二部は「筋・骨格系への鍼治療」の解説をしました

体の歪みを経絡で整えるテクニック

診断の説明:有名なお医者さんが多かったので写真を加工しました
第二部を「筋・骨格系への鍼治療」なんてテーマにしたのは、鍼灸治療は「筋肉や関節などの骨格系の治療」を、根本的なところから治療することができることを説明したかったからです。
根本的なところとは、筋肉や関節や骨格そのものではなく、関節や筋肉や骨格に影響を与えている「臓腑」という意味です。
これは各治療に哲学があるので、何が正しいということは言えないのですが、私たちは「根本とは、症状の出た部位と関係する臓腑まで含めること」と考えています。
あるとき、突然どこかの関節が痛くなりました。(たとえば膝としましょう)
その原因となるようなことは思い当たりません。
転んだでもないし、無理やり強く曲げたでもない。
ほんとに急に痛みが出てきたのです。
最初は我慢すれば普通の生活はできる程度だったのですが、その内、歩くのも、立つのも辛いほど痛みが激しくなってきたのです。
そのようなときに、何が原因と考えるのでしょうか。
関節が痛んでいるので、関節が原因と考える人が多いと思います。
しかし、体の捻じれても、自転車で転んだ時の古傷が引き攣っても、過剰労働をしても、カルシウムが不足しても痛みは出てきそうです。
そして、本当の原因を突き止めるのが「診断」になります。
膝が痛いのですから、膝周囲の筋肉に過緊張(代謝異常)があるのはわかっていることですので、それ以外を診るのがプロだと思います。
膝周囲の筋肉や腱を調整してもすぐに再発する場合が多いからです。
ここからが問題です。
では、その過緊張や代謝異常が起こったのはどうしてでしょうか。
過緊張を一時的に治めても、すぐに再発してしまいますので、筋肉の過緊張が原因ではなさそうです。
過緊張や代謝異常を起こした原因を突き止める必要がありそうです。
今回の臨床実践塾では、そのような「事例と治療法」を何件か紹介してから本題に入っていきました。
実技では、歪みのパターンを解説し、「歪みの波及」や「歪みでの辨証」、及び「歪みの治し方」などを説明しましたが、多分、参加者の皆さんが興味深く思ったのは、1つや2つのツボで瞬時に歪みを矯正する方法ではなかったかと思います。
(鍼灸学校1年生のように膝に鍼をするという方法はしません)
モデルになってくれた方が、仰臥になり、膝を立てて、膝を左右に倒して、膝が右に倒れにくい状態でしたので、左の心包査穴と左の脾査穴に軽く刺鍼してから、鍼を抜いて、再度膝を倒してもらうと、スッと倒れました。
この場合に、腰や手足の関節や筋肉には一切触っていません。
なのに、筋肉が軟らかくなり、関節が動き、膝が倒れたのです。
つまり、手のツボに1本、足のツボに1本軽く鍼を刺すだけで、このような変化が出てきたわけです。
これは、どういうことかと言うと、体の奥で(臓腑で)起こった異常を、鍼で整えたことにより、その関連している筋肉まで調整できることを証明したわけです。
これは理論的にも、実技のテクニックとしても、ちょっとレベルが高いので、理解できなかった方も多かったかも知れません。
それは診断の問題になるからです。
今回の、この臨床実験でも、あるベテランで著名な医師から質問を受けました。
「何故心包経と脾経なのですか?」
「はい。左側が硬いので、左にある臓腑に問題があると考えたわけです。脾臓もそうですし、心包もそうです。さらに、脾経と心包経は対応経絡になっていますので、両方を同時に整えた方がいいからです」
次回の臨床実践塾ではこのようなテクニックを交えて、「診断」をテーマに解説していく予定です。
私が長年、臨床で実践しながら考えてきた「診断即治療」ですので、必ず皆さんの技術向上に役立つことと思います。
それは、東洋医学での「診断」は、四診(望聞問切)で行うのが一般的ですが、七星論には従来の鍼灸学にない診断法もありますので、その診断法も含めるからです。
さらに、望診(見て診断する)は、臨床写真を見てもらいながら解説していきますし、切診(触って診断する)は、実技で覚えてもらうようにしますので、わかりやすいかと思います。
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