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2018/02/05

胸が痛いときがあり、息苦しい感じがします、という患者さん


写真① 腕を挙げてもらったら左腕は真っ直ぐ挙がりません 



写真② 額に鍼を1本刺したら、スッと左腕が挙がりました 



タイトルのようなことを訴える方が来られました。
「心臓の問題だな」と、両手を挙げてもらったら、写真①のように左手が挙がりきらないのです。
つまり、心・心包に関係する大胸筋や僧帽筋や大円筋などに疲労が起こっていると考えることができるわけです。

脈は「細脈」でしたので「気虚」も伺えました。
なので、肝の疲労も考えられたわけです。
一般的には、肝の疲労の場合は、心包経に出てくるのですが、この方の場合は、「心包ではなく心経」に虚脈がありました。
(経絡治療では「腎に実なし心に虚なし」と言いますが、そんなことはないと考えています)

そこで、普通に七星論で考えると、対応経絡から考えて「腎⇔心」になるので、腎の関連で治療をするのですが、とりあえず左腕の治療を優先することにして、(筋肉を整えるつもりで)肝の関連から治療することにしました。


写真③ これは七星論の「頭部七星」の配置で「木:肝」です 


座位のままで即座に変化を出したかったので、頭皮鍼がいいだろうと思い、写真③のように左の額に鍼を1本刺しました。
それから、再び腕を挙げてもらったら、写真③のようにスッと腕が挙がるものだから、患者さんは「クスッ」と笑っていました。
きっと、あまりに簡単に腕が挙がるので、笑うしかなったのだと思います。

ただ、どの患者さんにも同じ場所に鍼をして変化が出せるかというと、そうではありません。
だいたいの目安を付けてから、その部位を術者の爪先で探って刺鍼部位を決めていくわけですが、ちょっと訓練が必要です。
則ち、刺鍼部位を選択するためにも診断も必要になるわけです。

七星論は、非常にシンプルにまとめてあるので、診断も治療も難しいことはありません。
がしかし、その即効性や治療効果の持続性は、かなり高い位置にあると考えています。
ですから、鍼灸治療で苦しんだ医師や鍼灸師が七星論を学ぶと、ササッと治療ができるようになるわけです。

それは何故かと言うと、「五行論もシンプル」と言えばシンプルで、五行論は「五つの素材で組み立ててある」のですから、七つの星で組み立てた「七星論よりシンプル」だからです。
しかし五行論は理論が多くなりすぎて、あちらこちらで矛盾が出てくるので複雑になってしまったのです。
複雑になると、診断から治療までを一貫させることができなくなるので、迷路に入りやすくなります。
五行論と七星論の違いは拙著『靭帯惑星試論奥義書』に書いてありますので、そちらを参考にしてください。

話を戻します。
で、その患者さんは、「鍼を1本刺して3分で終わり」となると、必ず不満が残るだろうし、その場の症状だけを治める治療だけでは再発しやすくなります。
ですから、全身の経絡と問題となる臓腑も整えてから治療を終了しました。(^_^;)



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