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2017/10/17

物忘れ・アルツハイマー(頭皮鍼を主にした治療)

自分の頭にテスト
 自分の頭に刺鍼してテストをしているところです


2017/10/15 の 頭皮鍼をする前の検査方法(脊髄空洞症を例に) でも書きましたが、もの忘れに着いてもう少し書いておきます。

先日、「物忘れがひどいんです」と言いう患者さんがいて、たまたま斯界で有名な先生が来られていたので、先生が頭に鍼をしてくれた。
次回その方が来られた時に、
「あの鍼、良かったわー。きょうもしてくれないですか」というもので、その日も頭に鍼をしました。

そして、治療が済んで待合に戻った時も、
「ほんとにあの鍼は良かったわー。忘れたと思っていた事が次々思い出されてくるんです」と話していました。

その方の話を聞いたときに脳裏に浮かんだのは、
「もし、記憶力が良くなるのだったら、現在社会問題にもなっている認知症の治療ができるかも知れない。もし、認知症の治療ができるのなら、家族は元より、健康保険崩壊説にも一石投じることができるのではないか」ということでした。

それで、その後に脳に関する本を調べたり、自分に実験したりしているのですが、(何となく)「効果があるのではないか」と思えるようになってきました。
そこで実験として、自分の頭に鍼をして、そんな変化があるかを調べる事にしました。
(上の写真が実験の様子です)

たとえば、
① 本を読むスピード
② 読んだ後にどれぐらい頭に残っているのか
③ 残った記憶がどれぐらいの期間維持できるのか

といった簡単な方法ですが、本は真剣に集中して読まなければ、短期記憶でも長期記憶でも記憶に残るのが少なくなります。
他人への証明はしにくいのですが、この方法で実験してみる事にしたのです。

結果は、原稿を書いている時など、調べものが必要になるのですが、「あ、あの本に書かれていたな」とスッと出て来るので、正直驚きました。
そうなると、さらに深堀したくなりますので、頭の鍼と脳の活動の関係を調べることにしました。

脳のしくみ

『脳のしくみ』サンドラ・アーモット&サムワン著三橋智子訳、東洋経済新報社刊に、次のような一節があります。
【近ごろ物忘れが……、アルツハイマー病?
メガネをどこに置いたか思い出せない? それは普通の老化。でも、メガネをかけている事を忘れてしまうなら、そのときは認知症かもしれない。
認知症の原因の3分の2を占めるアルツハイマー病のような障害は、ふつうの老化の極端なモノとはちがう。特定の脳領域に機能低下が見られ、普通の老化ではありえない症状をともなう。認知症が進むと、自分の人生の重要な出来事を思い出せなくなったり、配偶者や子供のことがわからなくなったりする。
(中略)
ふつうの老化の中で脳機能に影響する「ライフスタイル因子」は、多くがアルツハイマー病とも関係している。この章のコラムでの説明しているとおり、運動は強力な予防策だ。】(後略)

つまり、「運動をして脳の血液循環を良くしたほうがいい」ということになる。

それでさらに、記憶に関する「海馬」について、ネットで論文を検索してみると、
海馬の基礎知識 というサイトに以下のような事が書かれていた。

【アルツハイマー病の初期の症候は新しい記憶の獲得能力が欠如することである。最終的には古い記憶も薄れたり消えたりする。海馬は記憶・学習に重要であることを考えれば、アルツハイマー病で海馬がひどく障害を受けていたとしても、それほど驚くべきことではない。実際、アルツハイマー病では、海馬は脳の他の領域からの結合がとぎれ、隔離されてしまうことが示唆されている(Hyman et al., 1984)。また、アルツハイマー性の病理が最初に現れるのが嗅内皮質である。海馬以外の脳部位も影響を受けるだろうが、これによって、情報を処理する能力が劇的に奪われてしまうのは、なによりも海馬であろう。

海馬はまた虚血や無酸素症に脆弱である。こうした悪条件下で神経細胞死が生じる脳部位はそれほど多くないが、海馬はまさにそうした部位である。細胞脱落はNMDA受容体を介した興奮毒性(excitotoxicity)によるものだと考えられている。このように海馬はかなり不安定な脳部位であり、また多くの代謝的なストレスに見舞われやすいのだが、これは海馬が新しい情報をどの脳領域よりも素早くコード化できるために海馬が払った代償であると考えることもできる。

統合失調症と海馬の関係はあまりはっきりしないが、統合失調症患者では海馬の大きさが有意に小さく、形態学的にも異常が観察されるという所見は重要である(Luchins, 1990)。しかし、どうしてこうした異常が統合失調症に特徴的な幻覚や精神異常を引き起こすのかはまだ謎である。】と述べられています。


たったそれだけを理論にするわけではないのですが、それらを総合して単純に考えると、脳の血液循環を良くすればいいのではないか、ということになります。
つまり、記憶に的を絞って脳の血液循環を良くする方法を調べて実験を繰り返すわけです。
それを裏から支えてくれたのが、冒頭に書いた「患者さんの声」です。

即ち、物忘れを直したり、抑えたりするには、
「頭蓋の縫合を緩め、脳内外の血液循環を良くすることで改善される」という仮説を立てられることができるはずです。

あ、でも、頭全体をマッサージしたり、やみくもに頭に鍼をしたりしても多分、効果は期待できないと思います。
人体への刺激は、「プラス」もあれば「マイナス」もあるからです。
鍼灸のツボが、1~2㎝ずれたり、刺す方向が違ったりしたら効果がないのと一緒です。



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